印象と周波数で考えるミックスパターン
一つ一つやってると全体像が全く見えてこない、見えてくるのも何時の事やらわからないので何となくミックスパターンからミックスの全体像を把握してみようと思います。
イコライザーを見ると右側がハイ、左側がロー、どっちとも言えない辺りがミドルになります。
グルーヴで考えるならこれでいいんですけど、みんなが一番よく聞くのはボーカルの音だと思います。
ボーカルの音は基本的に全部右側、つまりハイになります。これは人の普段の印象とはあまり合わないと思います。
一般的に男性の声は低いと言われていますけど、イコライザーで見ると高い部類になってしまいます。
どの辺が真ん中くらいと感じるかは人それぞれで難しいところですけど、男性の声と女性の声でローとハイを分けると真ん中あたりは男性の高めの声、女性の低めの声になるでしようか。
イコライザーで見た場合と印象とでローが左側というのは大体食い違いは無いです。ローの下の方は重低音と言われるサブウーハーの音になります。楽器で言うとベースとキックです。サブウーハーはベースとキックのより低い音を強調するスピーカーです。
問題は右側です。男性の声の帯域で言われるのが中低音と言われる帯域でイコライザーでは右側でハイですが印象では低音域になります。なので間をとって中低音と言われる事が多いです。
女性の声で言われるのが中高音です。印象では中音の高めになりますが、イコライザー的にはかなり右寄りです。その間が中音になります。
イコライザー的に高め低めと言うのとボーカルをメインで感じ取った印象で高め低めというのではかなり差があります。
これがミックスと関係して来ます。要するに分け方ですね。ダンス系は重低音を多く含み低音域を多く使うので全体的にボーカルも中音域あたりになります。
海外のボーカルの人はお腹から声を出す人が多いので女性でも高い声のようでもイコライザー的には低めの周波数がかなり含まれるので大体中音域あたりにまとまります。
ポピュラーの場合は中音域をメインで使うので女性の音域と男性の音域に分けて考える事が多くなります。
そうするとボーカルがリードになってそれを補う為にパッド音を入れます。シンセのプリセットにリードとパッドという風に分類されてますがこれの事です。
パッド音というのはカラオケの音の事で、MPCなどのサンプラーに付いてるパッドとは何の関係ないです。なぜ同じ名前なのかは知りません。
男性がボーカルの場合はリードを中低音にしてパッド音を中高音にします。ボーカルが女性ならリードを中高音にしてパッド音を中低音にします。
ボーカルが入ったらリードは間奏などの部分以外はボーカルとぶつかるのでパンで振るかミュートします。
もう一つ高音域というのがありますね。女性アイドルグループ系で良く使われる帯域で扱いが難しいです。ハイハットなんかもこの帯域です。ハイに帽子をかぶせるからハイハットだったような違うような。まあいいです。
とにかく一番上と考えていいと思います。イコライザー的には右の端っこの方です。扱いの何が難しいかと言うとエフェクターのちょっとしたかけ方の違いですごく音が変わってしまいます。なのでより慎重にかける必要があります。ですのですごく手間がかかります。
女性アイドルグループはたくさんあって競争が激しそうですがなぜそんな手間のかかる音を多様するかと言うと、この帯域を強くすると音痴に聞こえなくなるという裏技があるためです。
ボイストレーニングをしっかり受けていなくてお腹に力を入れてなかなか歌えないので自ずと音は高音寄りになります。さらにお腹に力が入って無いので音程が安定しません。なのでこの裏技が無いと女性アイドルグループは成り立ちません。逆に言えばこのミックスパターンを覚えれば女性アイドルグループは成り立ちます。
アニソンも印象では女性アイドルと似たような印象がありますが、アニソンはしっかりボイストレーニングをしている歌手や声優でも声のプロなので芯の太い声が出ます。なのでアニソンはオケが高い事はあってもボーカルは中音域が多いです。
あとこの高音域の帯域の音が強いとコード進行とか言われるような和音を扱わないとなかなか上手く行かなくなるのでそれなりのお勉強が必要になります。アレンジャーやエンジニアに頼る要素がかなり強いミックスパターンです。
ただこれは回避技みたいなのがあって和音を意識しないといけないのはグルーヴで言う、要するにイコライザーで見るハイとローの関係を協和させて繋ぐ必要があるからです。
いくらDAW上ではトラックが違うと言ってもスピーカーは同じです。つまり違うトラックでもスピーカーが同じなのだから帯域は共有しているわけです。
スピーカーでなくてもホールでもそうですけど、それぞれの楽器は同じ周波数帯域を共有しています。スピーカーだとよりはっきり共有します。
ですのでスネアが低いとキックと周波数を共有してはっきり聞こえるスネアが勝ってしまってキックが負けて弱くなります。スピーカーが別々なら出した音なら出るはずですがスピーカーを共有しているので消えてしまいます。
なので共有している帯域を削り取ってしまうという方法で干渉を避ける事によって和声感を無くし不協和音を避ける事が出来るので高音域を使ったら和声に従わないといけないというわけでは無いです。
ただ干渉する帯域というのはイコライザーで言うとほとんど全部真ん中あたり、ボーカル的には中低音の低めの音をごっそり削るのでかなりはっきり高音域と低音域に分離します。
和声感を無くすことで高音域を使えるようにして無くなったイコライザーの真ん中を低音域で補っているわけですから当然和声感より分離感の方が強くなります。
このパターンが最近の女性アイドルグループ系やダンス系でよくあるミックスパターンです。流行りのやつという感じでしょうか。
ここまでは良くあるミックスパターンを見てきましたが、無理なミックスパターンというのもあります。無理なことをいくらやっても無理は無理というやつです。
無理な基本は同じです。まず高音域が強いと低音域はあまり使えません。これは和声的に間違いではなくても無理です。
高音域と低音域を両方聞くと高音域の印象の方が強くなります。するとピントというか意識は高音域になります。そこで低音が過剰な動きをすると視界の端で何かがずっと動いてるような落ち着かない音になってしまいます。
人間には可聴域というのがありますが、動態認識範囲という別の範囲もあります。これはテレビ画面の中で動いている場合には認識として不快ではないがテレビを見ている最中にテレビ画面より少し外で何かが動くとすごく不快になるというものです。
聴覚も同じです。聞こえても認識範囲を超えている場合認識し辛い、つまり不快な音になってしまいます。このような音はあまり使い道があるとは言えないでしょう。
なのでミックスに利用出来る周波数範囲は低音域を多様するような場合、イコライザーの右側はボーカル的に中音域あたりまでになります。
高音域を多く使う場合、イコライザーの真ん中より少し下くらいまでになります。だいたいアコギの弾き語りと同じくらいと考えるとわかりやすいと思います。
しかしイコライザーの真ん中あたりを削り取ると真ん中あたりが無い分だけ低音域が使えるようになります。中音域を削り取る事で低音域がテレビ画面無いに入るようになった、下の端にレポーター画面を増やすように音を増やせるようになったと考えるとわかりやすいかもしれません。
ただそれと同時にイコライザーの真ん中を削り取って和声感を出すという事は出来ません。削り取ってますから低音域と高音域の2画面を繋げたようになります。
このように考えるとミックスパターンは限られてきます。
イコライザーの左寄りで高音域は使わない。
イコライザーの右側寄りでボーカルが中低音。もしくはボーカルが中高音。ポップス系はほとんどこれです。
アニソン系もミックスパターンではこれが多いです。少しローカット気味かもしれません。
余談ですがこのローカットはローダウンですね。ハイパスフィルターによるローカットとイコライジングで低い周波数を下げるのもローカットとよく言うのでこれもややこしい一つです。低いもボーカル的にかイコライザー的にか分かりにくい表現ですが。ボーカル的にです。
高音域が強く低音域を使わない。清純派女性アイドルグループ系特有のミックスです。お腹から声を出すのが基本の洋楽ではあまり聞かれません。
高音域が強くイコライザーの真ん中あたりを削って低音域を強くする。最近何かと流行りのミックスパターンです。ダンス系や女性アイドルグループ系によく使われます。清純派にはあまり使われません。